西君の合図


西君お通夜の帰り、夜道の境内段差に左足をとられた。鈍い音がした感じだった。靴の縫い目が裂け、翌日の葬儀では足首は腫れて熱をもち紫色だった。痛みより悲しみがおおきく正座しても痛くなかった。
その足首が今月になり時折痛いから、診てもらおうかと思っていたが痛みの理由がわかった。今月100日祭にあわせて納骨される。働いたころを思い出してくれと痛みで合図を西君がしている。
夕方、犬と川岸を歩きながら西君に言った。俺が死ぬまで合図してもええから。おまえは忘れんから。
85歳をむかえられた磯村千代子先生から封書が届いた。東北に行った教え子と連絡がとれない悲しみがつづられ。春だからラメール(浜辺の喫茶店)でコーヒー飲もうやと嬉しいお誘い。