便利は幸せか


以前は金色の腹を輝かせたおおきな鯖の煮付けや、ぷりぷり大粒のカキが食卓にあがっていた。流通スピードが飛躍的にはやくなり、わたしの好物は大消費地に高値で行っていると知った。
椎葉村の旅館に泊まったとき、川魚が晩のお膳に運ばれるとおもったら養殖のブリ。釜山港の食堂で食べたヒラメがたかいので理由を聞いたら「日本の養殖だから」にはたまげた。地方の景色や味など画一化されおもしろくない。
30年ほどまえ、6時間も船に揺られて営業に行った隠岐。港の水深が浅いため、沖で小型船に飛び乗って上陸。グリーンという民宿でイカ刺は丼。フジツボの味噌汁。活き作りの魚に満足した。寝床を敷いた主人がマッサージをしてくれた。以後、隠岐ではグリーンに泊まり木村という主と仲良くなった。流通がよくなることは悪くないが、失われていることもある。
木曜日をおわり少しの焼酎で身体が溶ける。はなちゃんは抜け毛で赤犬になったが食欲はあり、安楽死の心配はない。ような気がする。