歌謡食事会

朝6時。気温2度。晴れ。最高気温11度。農園の朝は深い霧。

Fさんの手伝い、手短に打ち合わせをし、Iさんに仕事の指示をメモして配達に出る。

昨夜は、Fさんと「歌謡食事会」。

2年ほど前から、1、2ヶ月に一度、彼と二人外食をする。

普段、私が農園を向う道、約30キロを荒滝山のふもとから彼が車を飛ばして市内へ出てくる。待ち合わせは自宅近くのコンビニで17時半。

彼の運転で「フジグラン宇部」。腹ごしらえに二階のレストランに入る。

彼は好物の「カツ丼」。私は「おろしそば」とビールを注文する。まぁ、いつもこんな感じ。

食事がテーブルに届くと、まずは「とんかつ」を一枚めくり、丼の飯を半分ほど食べ、残りをカツと一緒に頬張るが彼の流儀。

そばをすすりながら、美味そうに食べる様子を羨ましそうにながら眺め、ポツリポツリと言葉のキャッチボールをする。

夕食が私が奢ったので、浮いたお金で家族へ「おみやげ」を買うよう勧めた。

初体験の「ミスド」で、じっくり品定めをしてチョコレートたっぷりのドーナツを6個。840円。

その後、やはり彼の運転で床波駅前のお目当てのスナックへ。18時40分到着。

店のドアを開ける前、彼に3千円を渡し「残りはあたながお願いします」と伝え、彼は財布に私の千円札を3枚入れる。

開店前のカウンターでは、小柄37歳独身の女性が、おしぼりを丸めながらの開店準備、奥では少し背中が曲がったママが店の狭い厨房で仕事をしている。

「忙しいから7時前に店に来るなって、いつも言うちょるのに」。しわがれた声でママから遠慮なく怒鳴られる。小さいお金を使って長居するので仕方がない。

私は麦焼酎をロックで頼み、Fさんはコーラを注文。まぁ、こんな感じ。だいたい。

ここで彼の腕をつついて、最近、板についてきたセリフ促す。

「お姉さんも飲みますか?」で、37歳独身が「いただきます」とウーロン茶を自分のグラスに注ぐ。

3人で乾杯。彼はコーラを一口飲むと、カラオケの端末とにらっめをし、歌謡ショーの準備。

昨夜は「秋桜」からスタートし「栄光の架け橋」「なごり雪」「夢芝居」。この後、37歳独身と「麦畑」をデュエットし、北島三郎の「まつり」を歌いきるころ、2人ほど新規のお客が入る。

そろそろ時間ですねと、時計を指す仕草で彼に伝え、ウンウンと頷く彼が「姉さん、チェックお願いします」と。これも、また板についた。

37歳独身から「3900円です」と請求され彼が財布から清算をする。

私たちより後に来たお客に、わざと聞こえる大きな声で

「兄さん、今晩もご馳走になりました」と私が彼に対して大袈裟に深々とお辞儀をする。

彼が「ムフッ」と恥ずかしそうに笑い歌謡食事会はお開きとなる。

ポツリポツリ彼の話を聞き、私もポツリポツリと少しだが仕事の話をする。まぁ、いつもこんな感じ。

多少、彼の気分転換になってくれるとありがたい。

あだちまさし。