日別アーカイブ: 2016年7月11日

マジ、カンベン…

朝6時。気温24度。くもり。7時すぎから採卵を始める。鶏舎に入ると「カチッカチッ」の金属音がよく聞こえる。鶏が給水する際にニップルを突く音。

鶏の平均体温は40度前後で汗腺がない。発汗で体温を下げることができないため、水分を多めに取り、口呼吸から水分を蒸発させたり、地面を掘り比較的冷たい土で砂あびをして皮膚の表面から体温を下げる。もう一段暑さが増すと鶏の行動も、もう一段上がってくるが、今は水分摂取量が猛烈に増え始める時期である。

10時半まで、ゆっくり鶏舎を二回採卵。鶏も必死で産卵してくれるが、集める私も暑さと湿度で「ゆっくり」にならざるを得ない。

比較的高齢になった群は産卵数はそれなりに下がっているものの暑さには強い。

「冬の寒さや夜の辛さはこんなもんじゃぁ〜なかったわよねぇ。まだまだ若い子には負けられないわ」と、おばちゃん的な意地の産卵。

5月、6月に産卵を始めた、農園でもっともフレッシュな群は、産卵の嬉しさを覚えて何とか好調キープ。

「えぇぇ、やばくなぁい?この暑さ?メッチャやばくないぃ?」と、ギャル風に食欲、産卵もほぼ順調で暑さを楽しんでいる様子。

一番、問題なのは春先まで農園の生産を絶好調で牽引してきた群たち。冬の極寒を経験したことない鶏たちで、今までは朝一番に慌てて採卵室に入っても「ズラリ」と生み終えたタマゴが並んでいたが、この群たちが一番産卵時間が遅い。夏バテと産み疲れが一気にきたようでストライキ状態である。産卵数の減少はわずかだが、やけに機嫌が悪く、餌の摂取量も少なめ。

「私たちの人生って何なの?こんな餌と水だけじぁやってられない。マジ、カンベン・・・」と、かなり曇った表情で渋々産卵。

8時半すぎからIさん餌入れ開始。私が採卵を終えるころには全部の鶏舎を給餌し水分補給。彼女は人の様子などを観察して、自分のルーティンを少しずつ増やす。先週ごろからか、ペットボトル2本の水分に加え、飲むゼリー?なる新しいアイテムがルーティンに加わった。餌入れを終え、顔の汗をゴシゴシ拭いたのち、ゼリーのストローを口にし、一気に喉から胃袋へ。今日はクーのリンゴ味。

見る見る間に袋はペシャン。その後、息を荒くし、私の顔を強い目力で覗き込み「次は何ですか?」と指示を仰ぐ。

みなさん暑い中申し訳ありませんと、ただただ頭が下がります。

夕方、毎週伺う榊農家のIさん宅で頼んでおいた榊を受け取り、市内中心部を抜ける時間がラッシュ前だったので、先週ご縁が出来た居酒屋さんへサンプルをお届けする。

今日も一日ありがとうございます。

あだちまさし

小さなお客さま来園

朝6時。気温24度。くもり。7時前より採卵開始。Fさんは餌入れから。餌入れが終わる8時半ごろまで採卵、鶏舎を一周半。

今日は、2家族が農園見学に来られるので、お土産に双子タマゴを差し上げようと気をつけて採卵したが暑さのせいか、コレと確信できるは2つほど。

11時ごろお客さま来園。Nさま、Kさまご家族。小学校6年生の女の子二人に、三歳になったばかりの女の子。

鶏の運動場に入ってもらい、餌で鶏を集めてふれあってもらう。鶏やタマゴへ大変関心を持って下さり、ご両親から素朴な疑問をたくさん頂き、それに一つずつお答えさせていただく。日頃、配達先などでたくさんのお客さまと顔を合わせているが、お客さまの視点がどのような所にあるのか、改めて分かり、良い刺激をいただいた。

その後、採卵室へ案内し、女の子二人が採卵体験。採卵室へ顔を出す鶏が威嚇する声に、やや腰を引きながらボツボツとタマゴを集めていく中、産みたてホヤホヤの温かいタマゴが手に触れ、とても感動して頂き、ご家族みんなで湯気がでるようなタマゴを手にとっていただいた。

作業場で採卵したタマゴを大事にパック詰めする女の子たちの姿。両親が栽培している「ゴーヤ」を収穫して大事そうに抱える3歳の女の子。

十分なおもてなしが出来たか分からないが、自分たちの日常に改めて気付き、命をいただいている仕事に感謝した。

今日も一日ありがとうございました。

あだちまさし