日別アーカイブ: 2016年5月16日

自分史 12

小休止

わたしの人生は人の数倍迫力満点の失敗談が多い。
タクシーを降りるとき「ご馳走さま」とお礼を言うぐらいの笑い話は山ほどある。中でも笑いの最上級クラスを三話文字にしておこう。

ポケットベル事件

会議録の営業で移動範囲が広いわたしは、ポケットベルが発売されるとすぐに契約をした。山口県・福岡県・大分県・宮崎県・岡山県の5県を受信範囲に設定してもらった。
余談だが、韓国釜山では福岡県エリアでベルが鳴ったことがある。
そのベルをはじめて身につけて営業に出た。事務員さんにベルの呼び出し方法を教えた。その日は徳地町営業があった。
小郡ICから中国自動車道を走った。山口ICを通過して次が徳地IC。途中に「荷降峠SA」がある。トイレに立ち寄った。駐車場にはわたしの車だけ。小鳥のさえずりが聞こえた。
峠の下にはインド洋上空の気象観測衛星インテルサットと交信する巨大パラボラアンテナが数基、上空に向いていた「宇宙人は本当にいるのか」と一瞬思った。
便器に向かっていたらピッピッピッピッと音が聞こえた。
宇宙人の交信に間違いないと瞬時に判断した。かなり交信音は近い。姿勢を低くしトイレから外を見た。宇宙人は隠れて交信している。もうダメかもわからいが走ろうと全力で車に走りドアを閉めてアクセル全開で走り出した。
宇宙人の交信音は背広の内ポケットのポケベルだった。

クリスマスイブの夜

その年のイブは宮崎県延岡市。ビジネスホテルの9階に宿泊。夕方から近くの居酒屋で夕食。帰り道で酒屋で焼酎を買った。部屋で焼酎を飲みながらパソコン通信。部屋はあたたかくパンツと靴下(5本指)で横になったら寝ていた。目が覚めたらトイレに行きたく、トイレのドアをあけて入ったら、そこは廊下だった。オートロックは無情に施錠。
パンツと靴下のわたしは酔いが覚めた。とにかくエレベーターまで行けばフロント呼び出しの電話がある。しかし、それはなかった。
パンツで廊下に立っていても解決しないから意を決してエレベーターのボタンを押した。やがて降りるエレベーターが到着。
1階フロアーど真ん中でエレベーターのドアが開いた。イブのパーティーが終わった人が大勢くつろいでいるなかを、パンツと靴下のわたしはフロントに走ったのであった。

寝台特急「さくら」

名古屋に用があり、宇部駅で夜中の11時ごろ乗れば、終着の名古屋に朝到着の寝台特急「さくら」があった。
乗車の日、友人から電話があった「さくら」の最後尾車両はサウナ風呂があり、ビールの販売機もあるから快適です。寝台で寝る前にサウナで一汗かいて冷たい缶ビールで快眠が約束されます。
実は、これはジョークだった。けれどもわたしは寝台に荷物を置いて、タオルと小銭を持って最後尾車両に向かって歩いた、途中で乗務員さんがいたので「風呂はこみ合っていますか」乗務員さんは「風呂!」と絶句した。